私たちは日々、さまざまな困難やツラさを経験します。
しかし、その痛みやツラさの度合いは、人によって大きく異なります。
同じ状況に置かれたとしても、個々の感じ方や背景が異なるため、一律に測ることはできません。
例えば、貯金が5000万円ある人が100万円を失うのと、貯金が50万円しかない人が100万円を失う場合を考えてみてください。
失う額は同じでも、その人が感じる痛みはまったく違うものになるでしょう。
それでも、人は共感を求めます。
「分かるよ、私も同じような経験をした」と言われたとき、一瞬ほっとすることがありますが、その「分かる」が本当に正しいかというと、そうではありません。
事実、他人の痛みを完全に理解することは不可能だからです。
それでも共感を示すことが、相手に寄り添うための第一歩になるのです。
この記事では、「痛みに耐える」とはどういうことか、そして他者の痛みを理解し、共感を示すためにどのような視点や学びが必要かを考えます。
1.痛みとは相対的なもの

痛みやツラさは、誰にでも存在します。
しかし、その感じ方は人それぞれです。
これが、「自分の痛みが他人に理解されない」と感じる原因でもあります。
例1:ビジネスの失敗

ある経営者が新しいプロジェクトに挑戦し、失敗して数百万円の損失を出したとします。
同じような損失を経験した別の経営者が「その程度、大したことないよ」と言ったとしても、当事者にとっては非常に深刻な問題かもしれません。
資金の余裕、リスク耐性、経験の違いが、痛みの感じ方に影響を与えるのです。
例2:人間関係のトラブル

部下との関係に悩むリーダーがいます。
そのリーダーが「部下が思ったように動いてくれない」と感じる痛みと、その部下が「リーダーから評価されない」と感じるツラさは、異なるものです。
しかし、それぞれの痛みは本人にとって非常にリアルです。
2.共感とは何か

他人の痛みを完全に理解することは不可能ですが、共感を示すことは可能です。
共感とは、「相手の気持ちを分かろうとする姿勢」を持つことです。
これは、相手に「一人ではない」と感じさせ、精神的な支えを与える重要な手段です。
しかし、共感はただの「分かるよ」という言葉だけではありません。
相手の状況や背景を深く知り、相手が必要とするサポートを考えることが本質的な共感です。
つまり「今は分からないけど、教えてくれる?」というようなことが正直な共感です。
そこを理解せずに、相槌を打つ、相手の言葉を繰り返す、などしても、無意味だと思います。
3.痛みに耐えるとはどういうことか

多くの人は、「痛みに耐える」というと、「我慢すること」と考えがちです。
しかし、それだけではツラさを解消することはできません。
痛みに耐えるとは、以下のようなプロセスを含むものです。
1.痛みを受け入れる
自分がツラさを感じていることを否定せず、認めることが第一歩です。
2.痛みを言葉にする
ツラいときには、周囲にその気持ちを伝えることが必要です。
「ツラい」と言わなければ、周囲はその状況を知ることができません。
3.痛みを軽減するために学ぶ
痛みを乗り越えるためには、知識や視点を広げることが有効です。
たとえば、心理学や哲学を学ぶことで、自分の感情をより深く理解できるようになります。
4.痛みを軽減する学びの力

痛みやツラさを軽減するためには、学びが非常に重要です。
学びは、痛みに対する新しい視点を与え、乗り越える力を養うからです。
例1:心理学の視点
心理学を学ぶことで、自分や他人の感情をより深く理解することができます。
たとえば、「アドラー心理学」の「課題の分離」という考え方は、他人の期待に過度に応えようとするストレスを軽減するのに役立ちます。
例2:哲学の視点
哲学を学ぶことで、人生の困難や痛みに対する新しい解釈を得ることができます。
たとえば、ストア哲学は、「自分でコントロールできることと、できないことを区別する」という教えを通じて、ツラさを受け入れる心の強さを養います。
例3:実用的な知識
経営における戦略や効率化の知識を学ぶことで、ツラさを引き起こす具体的な問題を解決する力を身につけることができます。
5.声を上げる勇気がツラさを軽減する

痛みやツラさを他人に伝えることは、一見「弱さ」を見せるように感じるかもしれません。
しかし、声を上げることは周囲の支援を得るための重要な第一歩です。
痛みを抱え込むことで状況が悪化するよりも、早めに適切な助けを求めることで、解決の糸口が見つかることが多いのです。
しかし、これくらいで声を上げるのは恥ずかしいかな、とか、私よりツラい人は他にもいる、と思うことで声を上げることが出来ない人も多くいます。
そもそも、あなたのツラさはあなただけしか分からないので、比べる、ということが出来ないのです。
世界では、助けてといったものが、救われて、痛みに耐えている人は、ずっと耐え続ける、というようになっている気がします。
その上、「共感」だけ力を持つようになり、聞けばいいんだ、話さえ聞けば、すべての人の役に立つんだ、というような勘違いが起こっています。
共感とはまず、聞く姿勢からのはずであり、その態度は「不理解」からスタートしなければ、いつまでも世界は気持ちの悪い共感だらけになってしまいます。
まとめ:共感と学びでツラさを乗り越える

ツラさや痛みは、人それぞれ異なるものであり、完全に共有することはできません。
それでも、共感を示すことで、人と人とのつながりが生まれ、痛みを分かち合うことができます。
また、痛みに耐え、軽減するためには学びが必要不可欠です。
哲学、心理学、脳科学、実用的な知識は使うものです。
これらの知識は、きっとあなたの痛みを理解し、乗り越えるための力を養う助けとなります。
なにか1つを学ぶよりも、様々な学びを継続的に行うことで「興味」がどんどん出てきます。
そして、この興味は、あなたの人生を輝かせる一番の近道です。
世界に興味を持ち、あなたの可能性を見つけていきましょう!