何をもってして「健全な大人」というか、というのは非常に難しいかもしれません。
しかし、ここでは前提として健全な大人とは、対人関係が円滑であり、予期せぬ出来事にも冷静に対応できる人のことを示しながら書いていきます。
この前提でいくのであれば、人間関係におけるストレスや摩擦が減り、自己成長の機会が増えるため、信頼関係が強まり、仕事や生活全般において安定した成果が得られます。
一方で、健全でない場合、他者の多様性や予想外の出来事を許容できず、感情的な反応やトラブルが多発します。
柔軟な対応力が欠けると、孤立やフラストレーションが溜まる原因にもなりますからね。
ではどのようにしたら健全な大人になっていけるのか、というポイントを3つ挙げていきます。
1.他者の多様な側面を承認する

健全な大人になるためには、まず、他者が持つ様々な側面を認識し、承認することが第一歩です。
心理学者カール・ロジャーズの「自己受容」は、人間関係の核として他者の多面性を受け入れる重要性を説いています。
例えば、同僚や友人が異なる局面で異なる態度を取った場合、それを単なる気まぐれと決めつけず、多角的に捉えることが必要です。
他者の一貫性のない行動に対して寛容であれば、摩擦を避けることができ、信頼が深まります。
もっと分かりやすく言うのであれば、1つの面だけ見て判断していないか、ということです。
優しい人が急に冷たくなったから、「あいつは変わってしまった」と結論付けるのではなくあくまでもそういう一面もある、と考えることが重要です。
2.多様な状況を想定する力を養う

また、多様な状況を想定する能力を高めることも、健全な大人になるために重要です。
アリストテレスの「メタ認知」理論は、自分の視点から一歩引き、他者の立場や異なる状況を俯瞰的に捉える力を強調しています。
例えば、上記の事例であれば、相手が急に冷たい態度を取る状況であったとしても、感情的に反応せず、その背景にある可能性を考慮することで、適切な対応ができるようになります。
この力を養うことで、日常的な対人関係においても柔軟な対応が可能となります。
多くの人は言われた事実、やられた現実のみを考えて「反応」しますが、健全な大人になるためには背景を読み解く能力を磨く必用もあります。
3.違和感を感じたときに立ち止まる余裕を持つ

健全な大人であるためには、価値観を固定するのではなく、時に見直し、柔軟に変化させる力も必要です。
哲学者ジャン=ポール・サルトルの「存在と自由」では、私たちは選択と価値観を常に見直すべきだと述べています。
たとえば、若い頃に持っていた完璧主義的な価値観も、成長とともに柔軟性を取り入れることで、他者との円滑なコミュニケーションが図れるようになります。
この適応力が健全な大人としての基盤を築く鍵となります。
分かりやすく言うなら、私たちの価値観は、固定されたものではなく、人生の経験や状況に応じて変わっていくべきものです。
若い頃に「こうでなければならない」と思っていたことが、年齢や経験を重ねるにつれ、別の視点から見ると違う解釈が可能になることがよくあります。
例えば、仕事に対する完璧主義の姿勢も、家庭や健康など他の優先事項が増えることで、少し柔軟に「80%の完成度でも十分だ」と感じるように変わることがあります。
これは、価値観が変わることが「ブレる」ということではなく、むしろ成長の証です。
異なる視点を取り入れたり、新しい経験を通じて価値観を更新することで、より豊かな人生や人間関係を築くことができるようになります。
まとめ:健全な大人になるための多角的視野と柔軟性を育てよう

他者や状況の多様性を理解し、承認し、立ち止まる余裕を持つことが健全な大人になるための基本です。
また、自分の価値観を柔軟に保ち、変化に適応する力を持つことで、対人関係や生活の中でより大きな成果を得ることができます。
多角的な視野を持つことは、心理学や哲学の学びを通じても磨かれます。
私たちは「心学ナビ」というサービスも提供していますが、このサービスでは、ある種「健全な大人」として成長するためのコンテンツもたくさんあります。
多角的視点を育てることを意識しながら本日も昨日とは違う発見をしていきましょう。
きっと毎日が同じでないことに気付けば、世界は変わって見えていきますよ。